文学部3年 中津川蛍さん

派遣先:土気NGO

Q あなたが活動に参加した団体について教えてください。どのような地域課題に取り組む団体で、またどのような活動を行っていますか。

地域住民のつながりをつくり、まとまって意見を生み出していこうという目的を持って活動している団体です。住民が土気に愛着を持つためには、人々が交流するためにはどのようなしくみをつくればよいかを常に考えて活動をおこなっていることが伝わってきました。活動としては、月に1回、お祭りのような季節ごとのイベントを開催し、地域住民が集まり、楽しむことができる場をつくっています。また、「まちづくり実践塾」というものを企画し、地域の問題解決に取り組むための考え方やアプローチ方法などを共有することによって、新たな人材を生み出そうとしていることがわかりました。

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Q 実際にあなたが参加したのはどんな活動ですか。

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季節ごとに、夏祭りやハロウィン、文化祭、クリスマスなど、それぞれの行事において、準備や運営、片付け等を手伝いました。8月のサタデーマーケットでは、ビア・ガーデンで販売する瓶ビールの整理を前日の夜に行い、当日はそのビールを冷蔵庫から会場へ運び、販売の呼び込みをしました。片付けでは、会場の公園のゴミ拾いもくまなく行い、運営のスタッフ側の苦労を知ることができました。10月のサタデーマーケットでは、メインイベントであるハロウィンコンテストで、写真の掲示をし、投票のシールを会場の人に配りました。片付けでは装飾の旗やいす、道具を運びました。11月のあすみが丘プラザ祭りでは、野菜やお餅、パエリアの販売を手伝いました。店の前を通る人に、注目してもらえるようになるべく大きな声を出すことを心がけました。このころからやっと、自分が団体の一員として働くことができているように思いました。12月のサタデーマーケットでは、受付の設営や装飾、クッキーの販売をおこないました。

これらの体験から、「イベントは当日のその実施している時間のみならず、計画段階や準備、後片付けなど、さまざまなことを考えなければ成り立たないこと」、「一緒に一つのことを成し遂げようとする仲間と、信頼関係を築くことの重要性」、「多くの人が集まって語らい、互いに名前を知らずとも楽しむことができるイベントの特徴」、「イベントを企画するときはイベントの対象者は明確にした方がいいこと」、「同じイベントでも様々な人の思いがあって成り立っていること。特に、女性の活躍が目に見えたこと。」などを学ぶことができました。

まちづくり実践塾では、毎回様々なメンバーの方が地域活性についての講義をしてくださいました。
9月には、まちの問題点をみつけ、自分がそれをどう「楽しい」方法で解決するかを考えることの大切さを学びました。11月には、何かを実現させたいという思いがあれば、行政に企画書を作成して提出することにより、要望を伝えることができるとの手段を学ぶことができました。

Q 活動に参加する前に設定した目標について教えてください。地域活動に参加するにあたり、地域・人々にどんな貢献をしたいと考えましたか。また体験を通じて何を学び、どんな点で成長したいと考えましたか。

「住民が地元に対する思いを深めることができるような場をつくる、力になりたい」、「周りの状況を見て、自分にできることをその都度考えて行動する」、「わかりやすく自分の言いたいことを相手に伝える」、「住民の交流のための企画の方法や細かな準備を現場から学び、自分の取り組みに生かす」を目標に設定していました。

Q それらの目標はどの程度達成できましたか。

自分から積極的に行動することはあまり十分とは言えず、決められたことに黙々と取り組んでしまったように思います。もう少し、自分のアイディアを発言して、活動に取り入れていくようなことができたらもっとよかったです。

また、途中まではイベントにただ参加しているだけで、運営側の一員になれていなかったことを反省しています。一方、企画や準備の方法を現場で学ぶことはできました。よって、総合的にみると自分の当初の目標を満足して評価できず、60%くらいであると考えます。

Q 今回の地域活動体験の中で、最高/最低な体験をそれぞれ教えてください。また、その体験から何を学びましたか。

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8月30日のチャリティーイベントのときが特に、自分がサービスを受ける側であるのかサービスをする側であるのかがあいまいな関わり方になってしまいました。この日は運営の手伝いらしいことがほとんどといってよいほどできなかったことを反省しています。それが自分の中で、一番よくなかった体験だと思います。

一方、11月30日はプラザ祭にて、お餅などの販売をして積極的に声を出した結果、すべて売り切ることができました。それだけでなく、団体の方々に「あなたがいてくれて助かった。ありがとう。」と言っていただき、自分も役に立っていることを感じることができ、うれしかったです。自分が組織の一員になれているのではないかと感じたこの時が一番、最高な体験であったと思います。それは、自分が地域のために何か行動して初めて、地域の一員になれていると感じることとも同じであると思います。

Q あなたの地域活動に対する理解を教えてください。それは実習前とどんな点が変わりましたか。

ボランティアといえば、人のためにおこなうものであるというイメージでしたが、土気NGOの方々は自分たちも含めた、地域のために活動しており、そのイメージが変化しました。そして、一つの集団はそれぞれ同じ意識を持っており、それだからこそ、協力しようという心も生まれるのだと感じました。

Q 実習を終えてあなた自身、何か変りましたか。

土気の、特にあすみが丘は比較的最近、それまでは森だったところにできた住宅街であるゆえに、地域住民はそれほど地元に愛着を持っていないのではないかと思っていました。自分自身も転勤で千葉にやってきたため、「出身はどこですか」と尋ねられたとき、千葉の、とりわけ土気が出身だということを言うのに、少し自信がないことがありました。しかし、地域のみんなでまとまっていきたいという、熱い思いを持っている人がたくさんいたので、その方々と交流することができたことで、自分も住民の一員として、何かしなければならないという思いが募ると同時に、土気に対する思いが以前より高まりました。また、政治家の方と直接に関わる機会もあり、今まで以上に行政や政治がより身近に感じ、他人事ではないことが実感できました。

Q 今回の地域活動の体験に満足していますか。それはなぜですか。

満足しています。やはり、自分の地元でもある土気で、地域の一員として自覚した行動をとることができたことが、成果だと思います。また、勉強になることが多く、自分が企画をするときに気を付けなければならない点を様々に学ぶことができました。地域のコミュニティづくりという観点から見ても、自分が研究している銚子市と比較しつつ、見られたこともよかったです。

Q 今回の実習はボランティアとして行いました。このような活動を行うためには対価が必要ですか。必要であれば、どのような対価が得られれば他人に対してあなたの時間や労力を割いてもよいと思いますか。

感謝の言葉や、喜んでくれている表情だと思います。「ありがとう」や「あなたがいてくれたから助かったよ」などと言っていただけると、またがんばろうという気持ちになります。そして、笑顔や喜びの表情を見ることができると、こちらとしてもうれしくなります。当たり前のことですが、改めて実感することができました。

Q 地域活動での体験はこれからの大学での学びにどのように関連すると思いますか。また大学での学びは地域活動にどのように関連していますか。

専門が民俗学であり、それぞれの地域の慣習や文化について学んでいますが、それを形成するコミュニティの中に入り、観察する部分通じているところがあったと思います。また、今回は私の地元だったので、自己を振り返るという意味でも、とてもよい経験になったと思います。今後、自分の街のことを知ったうえで、他地域と関わることは、一つの基準があることで比較がしやすくなると思います。

Q 今後どのようなことに取り組んでいきたいと思いますか。

自分の得意とする分野を生かしたイベントの企画ができたらよいと思いました。まだまだ専門分野においての知識も乏しく、なかなか難しいところではありますが、消滅してしまった慣習や祭事などの文化についてみんなで学ぶ機会や、それを町として復活させようという思いのもとに、住民がまとまっていくということが自分のなかでの夢です。今回は地元でしたが、まったく知らない新しい土地へ訪れて、第三者の視点から地域の諸問題を分析し、一緒に解決へ向けて試行錯誤することに取り組んでみたいと思います。

Q 来年度実習を行う後輩たちへ一言

最初は緊張して思うようにいかなくとも、場に慣れるにしたがって自分のできることを見つけていくことができるように思います。ですので、とりあえず恐れずに、興味のあることにチャレンジするのがよいと思いました。学校の外で実践的に学ぶことのできる貴重な機会なので、自分の専門を生かす場としても、新たな分野への挑戦の場としても、とてもよい経験になると思いますので、ぜひ積極的に参加してほしいと思いました。