園芸学部1年 内藤由貴子さん

派遣先:NPO法人 こんぶくろ池自然の森、NPO法人 バランス21

Q あなたが活動に参加した団体について教えてください。どのような地域課題に取り組む団体で、またどのような活動を行っていますか。

派遣された2団体のうち、「NPO法人 こんぶくろ池自然の森」は、柏市のこんぶくろ池自然博物公園を管理・運営している団体です。この公園は湧水が染み出すことで珍しい植物も多く、それらを保護することは重要であり、これから拡大していくための整備も必要です。そこで市民によって散策路づくりや笹刈り、草取り、倒木除去などの里山活動や、植生の調査などを行っています。子どもたちに対する自然体験のイベントなども行っています。

もう一つ「NPO法人 バランス21」は千葉市の谷当町で、堂谷津の田んぼを中心に里山活動をしている団体です。田んぼでは無農薬・無化学肥料で米を栽培し、冬も水を張ることで多様性を維持されています。子どもたちの田植え・稲刈りの体験や、餅つきなどのイベントを行い、湧水や鹿島川の水質調査も行っています。周囲の斜面林も整備されています。

NPO法人こんぶくろ池自然の森>>
谷当里山計画>>

Q 実際にあなたが参加したのはどんな活動ですか。

「こんぶくろ池自然の森」では、主に草取りや笹刈り、ペンキ塗りなど普段の軽作業のお手伝いをしました。キノコの観察会に参加させていただいたり、秋祭りでは前日の準備でテントを立てたり、当日は子供に工作を教えたりしました。

「バランス21」では、川の水質調査、池から田んぼへの水路づくり、林の探索のお手伝いをしました。餅つき大会の準備では、飾りになる植物集めや、しめ縄作りも行いました。

Q 活動に参加する前に設定した目標について教えてください。地域活動に参加するにあたり、地域・人々にどんな貢献をしたいと考えましたか。また体験を通じて何を学び、どんな点で成長したいと考えましたか。

力仕事を積極的にこなし、整備の進行に貢献する。子どもたちへの自然教育の様子をよく見て学び、今後の参考にする。といった目標を立てました。

また、専攻が園芸学部なので今後も農具を使う機会は多います。農具の使い方を上達させておきたいという思いもありました。子どもたちにどう学んでもらうのかを知ることができるかもしれないとも思いました。

成長という点で言えば、団体にいらっしゃる多くの方と関わり、話をし、コミュニケーション能力を高めたいと思っていました。また、年上の方たちから環境を守る仕事についてなども学べたらと思っていました。

Q それらの目標はどの程度達成できましたか。

力仕事に関しては60%くらいです。

任された仕事には真剣に取り組みました。しかし、力のいる作業を任されることも多くなく、男性と比べると自分の体力の無さを思い知りました。しかし、農作業には体力が必要です。一日の作業で鍬を使っただけで疲れてしまう今のままでは情けないので、これから意識的に動いて体力を付けなければと思いました。

その他は40%くらいです。自分から子どもと接していくことは出来ませんでした。そういう機会が少なかったので、なおさら話を聞いていくべきだったと思います。農具については小学生の時にある程度は学んでいるのでそのくらいの技術でも十分だとわかり安心しましたが、使ったことがないものも教えてもらえばよかったと後悔しました。

コミュニケーションは、何回か参加していくにつれて慣れてきて、話せるようになりましたが、自分から話すことは少なく、もっと自分から質問を思いついて質問していったり、会話を続けられるようにならなければと、もっと成長する必要がおむとおもいました。しかし、年上の方とお話しすることへの緊張は少なくなりました。

Q 今回の地域活動体験の中で、最高/最低な体験をそれぞれ教えてください。また、その体験から何を学びましたか。

最高の体験は、自然の中で作業ができたことです。田舎から出てきて緑が恋しかったこともあって、最初に活動場所を見たときには、緑に囲まれた環境に感激しました。週末ボランティアに行くのが楽しみになり、リフレッシュになりました。

ボランティア先の方々からいろんな物をいただいたこともとても嬉しいことでした。こんぶくろ池さんでは、作業後のお茶の時間が毎回楽しみでした。果物が美味しかったですし、余った焼き芋やおにぎりをいただいたり、お菓子をいただいたり、申し訳なくなるくらい嬉しかったです。バランス21さんでも、みなさんの作ったお米やお餅をいただいてその美味しさに驚きました。

最悪な体験は、強いて挙げるとしたら池の周りを歩いていた時に地面が崩れて穴にはまったり、田んぼの畔で滑って転んだりするのが続いたことです。ですが、それも楽しい笑い話になりました。嫌なことはありませんでした。

Q あなたの地域活動(ボランティア活動、NPO等の団体の存在意義)に対する理解を教えてください。それは実習前とどんな点が変わりましたか。

NPOというと、以前は会社のようなイメージがありました。きちっとした組織で、そんなに簡単に参加することは出来ないと勝手に想像していて、それぞれの団体がどのように活動しているのかなど考えたこともなく、謎の多いイメージでした。

実際に参加してみて、NPOに所属している人たちは同じような意識を持った市民の集まりだと感じました。意識の高い方たちですが、それを感じさせず、自分たちの活動を楽しんでいます。好きな活動を楽しんで行い、地域に貢献している。そんな印象に変わりました。ボランティアも大げさなことでなくても、継続が大切なんだろうなと思いました。

Q 実習を終えてあなた自身、何か変りましたか。(あなた自身や他者、地域社会に対する評価、考え方、態度、行動など)

以前から考えていたことではありますが、実習がきっかけとなって自然と人との関わりについて、今までからさらに考えが大きく変わりました。

前までは、人の手が入らないまたは人が手を加えてから何年も経っているような豊かな自然の中で過ごしてきたこともあって、環境に多くの悪い影響を与えてしまう人間はいない方が良いのではないかと考えたこともありました。

しかし、今回参加したボランティア先の環境は人が管理することによって生物の多様性をより豊かにさせ、景観が作られ保たれています。人が良い自然環境をつくることができると知り、人もやはり自然の大事な一部なのだと認識を改めることができました。

Q 今回の地域活動の体験に満足していますか。それはなぜですか。

大変満足しています。

まず、地域活動体験をやろうと思った最初の理由は自然の中で活動したかったからです。実際にこんぶくろ池自然博物公園に行って雑木林を見て、谷津田とその斜面林を見て、地元とはまた違った豊かな自然に感動しました。そんな中で毎週活動に参加できただけで満足です。

さらに、この授業を取らなかったら、知り合えなかったたくさんの人と知り合えました。人との縁や人との交流の大切さを知りました。美味しいものもたくさんいただきました。毎週末通うのは大変でしたが、活動に参加してよかったです。

Q 今回の実習はボランティアとして行いました。このような活動を行うためには対価が必要ですか。必要であれば、どのような対価が得られれば他人に対してあなたの時間や労力を割いてもよいと思いますか。

いつもいろんな物をいただいていたので無対価とは思えなかったですが、もし具体的な形での対価がなかったとしても、授業として活動に参加して、何か学ぶものがあったとしたら、それが十分対価になると思います。自分が望んで好きな活動に参加しているなら活動も苦にはならないと思います。ただ、ボランティア先の方々との楽しい交流は必要だと思います。

Q 地域活動での体験はこれからの大学での学びにどのように関連すると思いますか。また大学での学びは地域活動にどのように関連していますか。

人も自然の大切な一部として存在できることがわかったので、そのためにはどうしていけばよいか、自然についてもっと深く大学で学んでいきたいです。また、授業で扱った植物も実際に見ることでよく覚えることが出来ますし、他にも多くの植物や自然の様子について学ぶことができます。また、これから大学で学んでいく内容は自然を含めたよりよい地域環境を作っていくための役に立つと思います。

Q 今後はどんなことに取り組んでいきたいと思いますか。

時間のあるときにはまたお手伝いしたいです。さらに、地域活動に関しては、将来地元に戻りたいと考えているので、町づくりについて、自分で調べていきたいと考えています。今のままでは、まだ何をしたらよいのか知識が足りません。地域のために私に何ができるかわからないので、これから勉強していきたいです。

Q それでは最後に、来年度実習を行う後輩たちへ一言お願いします。

ボランティア先の方々はとても親切です。活動でもきっと楽しいことがたくさんあります。いろんな人とお話ししてください。実習が終わったら、この授業を取ってよかったと思えると思います。

里山活動は自然が好きな人ならとてもよい体験になります。おいしいものももらえるかもしれませんよ。