園芸学部1年 渡邊彩さん

派遣先:NPO法人 花工房カモミール、NPO法人 こんぶくろ池自然の森

Q あなたが活動に参加した団体について教えてください。どのような地域課題に取り組む団体で、またどのような活動を行っていますか。

私は2つの団体で実習を行いました。

「カモミール」は、植物の育成やサシェ作りなどの園芸療法を通して、障害を持つ人もそうでない人も共に生活していくことを目標としている団体で、そのためのステップとして園芸療法だけでなく、乗馬や宿泊研修などの活動も行っています。

「こんぶくろ池自然の森」は多様な生態系が残っている、柏市のこんぶくろ池公園の貴重な自然を保つために、保全・育成活動を行っている団体です。また、森と人の営みを活かしたコミュニティつくりにも努めています。

NPO法人 花工房カモミール>>
NPO法人 こんぶくろ池自然の森>>

Q 実際にあなたが参加したのはどんな活動ですか。

「カモミール」ではブルーベリー摘みやサシェ作りなどの園芸活動を始め、公園の雑草取り、他団体の見学や他団体とのボーリング大会などでの障碍者の補助を行いました。

「こんぶくろ池自然の森」では、雑草取りが主で、その他柵の取り換えやテーブルのペンキ塗りなどを行いました。また専門家が来ての公園内のキノコ観察会や、地域住民が来て観察会・木や竹のおもちゃ作り・豚汁を配るこんぶくろ池秋のお祭りに参加しました。

Q 活動に参加する前に設定した目標について教えてください。地域活動に参加するにあたり、地域・人々にどんな貢献をしたいと考えましたか。また体験を通じて何を学び、どんな点で成長したいと考えましたか。

「カモミール」では、障害を持つ人が園芸活動を通して、楽しさややりがいを感じてもらえるよう活動に取り組むことを目標としました。また、園芸療法の役割を体験して学び。さらには障害を持つ人とのコミュニケーションを通して、積極性・自主性を身に着けたいと考えました。

「こんぶくろ池自然の森」では近隣市民の方に多様な動植物がいるこんぶくろ池のことをもっと知ってもらうよう活動したい、公園を整備することが、公園の自然にどのような恩恵を与えているかを知りたい、という目標をたてました。

Q それらの目標はどの程度達成できましたか。

「カモミール」では園芸活動を一緒に行うことを通じて、利用者が五感を使って園芸を楽しんでいたことを知ることができました。ですが、すべての利用者と関われたわけではなく、接し方がわからず躊躇してしまうこともあったので、50%ぐらいです。

「こんぶくろ池自然の森」では、様々な場所での雑草取りや観察会で、公園には多様な動植物がいて、雑草を取ることはその動植物を守るために必要なんだという事が分かりました。また最初はコミュニケーションに消極的になってしまったのですが、だんだん他のボランティアの方とも会話できるようになり、他のボランティアの方が「最初の時より顔つきがよくなった」と言ってくださったので70%ぐらいです。

Q 今回の地域活動体験の中で、最高/最低な体験をそれぞれ教えてください。また、その体験から何を学びましたか。

うれしかったことは最後のボーリング大会で、最初はボールを投げようとしなかった知的障害を持った利用者さんが、私の声掛けで少しずつ自力で投げてくれたことです。初めは困ったのですた、それも利用者さんの個性だなと思えました。様々な考えの人がいる中で、受け止められないようなことも一回受け止めることが大切なんだと改めてまなびました。

大変だと思ったことは、利用者さんが私の頭を両手でぐいっとつかんでなかなか離さなかったことです。首が曲がって痛かったのでその手を離そうとしてもなかなか離すことができませんでした。重度の知的障害を持った方だったので、なんていえばよいかわからりませんでした。あらかじめ職員の方に普通に話すことが困難な方とはどのように接するのがよいのか、などを聞いておけばよかったと思いました。

Q あなたの地域活動(ボランティア活動、NPO等の団体の存在意義)に対する理解を教えてください。それは実習前とどんな点が変わりましたか。

実習前はボランティアというと「してあげる」イメージがあったのですが、実際活動に参加してみると、与えるよりも、受け取る学びや自分自身の成長のほうが大きく感じました

Q 実習を終えてあなた自身、何か変りましたか。(あなた自身や他者、地域社会に対する評価、考え方、態度、行動など)

少し積極的になれました。

最初は誰かの指示がないとただ立っているだけの時が多かったのですが、徐々に自分から指示を聞きにいったり、その場で適切だと思う行動をとったりすることが出来るようになったと思います。

また、今回の実習は自分が普段関わることのない人とかかわる機会が多くありました。もしこの授業を受けなければ関わらないままだったと思うのですが、今回、実習を通じてそのような人々と一緒に作業したり、会話したりすることができました。

Q 今回の地域活動の体験に満足していますか。それはなぜですか。

今回の実習先では、どちらの団体でも普段自分とは関わることが少ないような人が多かったです。今まで自分と同じ年齢層で似たような考えを持った人ばかりの中で過ごしてきた自分にとって、様々な人とかかわることができたのは、とてもよかったです。

また、私は園芸学部なので、園芸や環境に関する活動に参加したのですが、座学では知りえないようなことも知ることができたのも良かったです。

なので、私は今回の地域活動体験に満足しています。

Q 今回の実習はボランティアとして行いました。このような活動を行うためには対価が必要ですか。必要であれば、どのような対価が得られれば他人に対してあなたの時間や労力を割いてもよいと思いますか。

今回参加した2団体とも、一緒にごはんやおやつを食べる時間がありました。その時間は私にとって「今日ボランティアをやってよかった」と思える瞬間でした。普段は一緒に食事をすることのない人たちとおしゃべりながら食べるのは大変楽しかったです。私は活動終了後にそのようなお茶の時間があると、時間や労力を割いてもよいと思えるようです。

Q 地域活動での体験はこれからの大学での学びにどのように関連すると思いますか。また大学での学びは地域活動にどのように関連していますか。

どちらの団体の活動も、自分の学科の内容と密接にかかわるものだったので、この活動でできた経験が、これから学ぶ専門的な授業の内容を深く理解するための手助けになると思います。

逆に、大学で学ぶような専門的な知識があればもっと役に立てたのに、と活動中に感じることもあったので、大学での学びは地域活動でより主体性に動くために必要だと思いました。

Q 今後はどんなことに取り組んでいきたいと思いますか。

今回参加した活動は私自身、やってよかったと思える活動だったので、これからも同じような活動に参加したいと思いました。

また、今回は受け身になりがちだったのですが、これからは大学で専門的な知識を身に着け、主体的に動くような活動をしたいと思います。例えば雑草取りにしても、ただ言われた通りに取るのではなく、限られた時間の中で今回はどのエリアの雑草をとるべきか、などを考えながら活動に取り組みたいです。

Q それでは最後に、来年度実習を行う後輩たちへ一言お願いします。

普段かかわることのできない環境・人とかかわるよい機会なので積極的に取り組んでみてください。たくさん学べることがあります。