教育学部1年 松本奈緒さん

派遣先:NPO法人 まちづくり千葉

Q あなたが活動に参加した団体について教えてください。どのような地域課題に取り組む団体で、またどのような活動を行っていますか。

「NPO法人 まちづくり千葉」は千葉市のボランティア中間団体リベルタちばと共同して運営しており、主に千葉市中央区でのコミュニティを活発にする催し物などを行ったり、千葉市や周辺で活動する様々なNPO、ボランティア団体をつなぐような場づくり、またサポートをする活動を行ったりしています。再開発が進んでいる千葉市中央区ですが、昔から住み続ける方々も多くいらっしゃいます。そのような方々と再開発の進む現在の千葉市をつなぐ、そして千葉市を人々のコミュニティとして元気にしていくということを課題として取り組んでいる団体です。

特定非営利活動法人まちづくり千葉>>

Q 実際にあなたが参加したのはどんな活動ですか。

長く続いているイベントで、毎月行われる「銀座通りフリーマーケット」の運営お手伝いをさせて頂きました。また夏の「親子三大夏祭り」のまちづくり千葉ブースの出店にも参加しました。そのほか千葉活動支援サポートセンターフェスタの運営お手伝いや、いぬねこ里親会チャリティーコンサートのお手伝いなどもいたしました。

Q 活動に参加する前に設定した目標について教えてください。地域活動に参加するにあたり、地域・人々にどんな貢献をしたいと考えましたか。また体験を通じて何を学び、どんな点で成長したいと考えましたか。

社会性を身につけ、自分の出来ることを広げていきたいということ、また「地域課題」と叫ばれているものの実態をみるということを目標として掲げました。

どんな貢献をしたいか、という点に関しては、自分の出来ることをさせていただくという感じで、貢献というほど出来ることがあるとは考えていませんでした。何もできないのではないかと思いつつも、地域に役立つことをやりたいという意思があるということを伝えたいという思いはありました。

また、活動説明会でまちづくり千葉代表の山本さんを見て、あのようなしっかりとした大人の方の所作を学びたいと感じ、きちんとした大人になるという点で少しでも成長できればと考えました。

Q それらの目標はどの程度達成できましたか。

80%は達成できたと思います。

まず、社会性という点に関しては、正しい言葉遣いや態度、対応について多くを学び、身につけられたと感じています。また、山本さんに様々な生きる知恵を教えていただき、賢く生きていくこと、度胸を持つべきところとそうでないところなど様々なことを学びました。

また、地域課題の現状にふれるという面でも、様々な団体の方とも接触しながら千葉市の現状について考えるきっかけとすることができました。しかし自分の姿勢を見せたいという点では、なかなかそこまでは達せず、地域の方々や団体の方々に助けられ、学ばせてもらうことばかりが多かったと思います。

Q 今回の地域活動体験の中で、最高/最低な体験をそれぞれ教えてください。また、その体験から何を学びましたか。

最高だった体験は、一年間の実習を通してたくさんの団体の方、地域の方と関わりましたが、その多くの人がそれぞれにやりたいこと、目標を持っているという熱い思いを持っており、それを実現のみちへつなげようとするまちづくり千葉、また山本さんの姿がそのような人々の励みになっているのだということを実感できたことです。

特に、毎回のフリマの中ではまち千葉の方々と話すたびに山本さんの行動力や人徳に魅了されているという話を聞き、他団体の方からも自分たちの助けていただいている、理解してくださっていることが嬉しいのだと語られることが多く、この地域にとってなくてはならない、素敵な存在なのだと感じました。人の力が人を集め、コミュニティをつくっていくのだと学んだのがいい経験でした。

最低な経験というほどのものはあまりありませんでした。

Q あなたの地域活動(ボランティア活動、NPO等の団体の存在意義)に対する理解を教えてください。それは実習前とどんな点が変わりましたか。

実習先であるまちづくり千葉自体はイベント運営などに関わる団体でしたが、「リベルタちば」や「ちばさぽ」が身近にあったことで、実習中からボランティア中間団体について考えることが多かったです。

実習を始める前は、NPO、ボランティアと言えば課題があって、必要を感じて何かをするということだけが正解であるような気がしていたが、それだけではないということを実習を通して感じました。活動にはうまくいかないことも多く、組織運営としてのノウハウや資金のやりくり、団体の活動自体への工夫についても問題が発生したりしています。そんなとき中間支援団体は、それを手助けするだけでなく、活動している団体のよき理解者となることで後押しできるのだとわかりました。少しでも自分たちの活動が理解され、後押しされていると感じられること、また中間支援団体を通して様々な団体と知り合い交流できることは、ボランティアとして活動を続ける人々の励みとなるのではないかと感じました。そうした存在の大切さは、実習に行って初めて実感したことです。

Q 実習を終えてあなた自身、何か変りましたか。(あなた自身や他者、地域社会に対する評価、考え方、態度、行動など)

今まで、ひとがボランティア活動やNPO活動というものに参加することのメリットは、自分が地域貢献できるという自己満足感、また自己肯定感を得ることなのではないかと考えていました。今は、それだけではないと考えるようになりました。

例えば、今回の実習でたくさんお話をさせていただいた「いぬねこ里親会」の方々と接する中で感じたことがあります。「いぬねこ」さんの、野良犬や野良猫の保護・里親探しの活動は、自分も以前捨て犬を拾ってきて家で飼っていたことから共感する点が多く、団体で活動している方の熱心な思いもこころに響くものがありました。そして、このような強い思いがあるだけで、利益などを持たずとも活動することができるのであると感じました。コミュニティづくりの手段としてのNPO、ボランティアということばかり学校では勉強していますが、そんなツールのひとつではなく、本当に必要である、自分がやるべきであると感じている人にしかできないことであるということを痛切に感じました。

Q 今回の地域活動の体験に満足していますか。それはなぜですか。

満足しています。社会の一員としてのボランティアと言いながらも、周りの方々は優しく丁寧に仕事を教えてくださり、非常に良い環境に甘えさせていただいたともいえるほどでした。また、様々な経験をさせてくださったこと、様々な活動にふれ、千葉市内、県内の様々なボランティアについて知るきっかけとなったことは自分にとって大変貴重なものでした。少ない日数のなかでしたが、充実した実習でした。

Q 今回の実習はボランティアとして行いました。このような活動を行うためには対価が必要ですか。必要であれば、どのような対価が得られれば他人に対してあなたの時間や労力を割いてもよいと思いますか。

直接的な対価は必要ないと思います。こうして活動していくこと、またその中で必要とされている、それが他人にとっても自分にとっても大切なものであると自分で本気で思えるならば直接的な対価がなくても、自分が活動できるならばそれが価値になると感じました。

そうではない人が活動しなくてはならないのであれば、有償ボランティアなどの形になるのだと思いますが、それならばやりたい人がやるほうがいいと思います。

Q 地域活動での体験はこれからの大学での学びにどのように関連すると思いますか。また大学での学びは地域活動にどのように関連していますか。

大学で理想モデル、成功例についての例をたくさん知り、大学という「上からの地域再生」に関する例も学んできたが、実際に地域に根ざして活動している人々の姿を見て、感じながら、そうした「上からの」推し進めや催促よりも、その問題の当事者や地域の人々が解決したいと思って動きだすということが一番大切であると感じました。どんなに親身になろうとしても、問題の深刻さをわかっていても、今回活動した実習先で出会った人々の姿といま大学で学んでいること、考えていることには温度差と距離感が存在しているということを実感しました。

Q 今後はどんなことに取り組んでいきたいと思いますか。

いろいろなことを聞いて知る、知識を持つというより先に、実際活動をしている人々になるべく多く触れ、感じることをたくさんしていきたいと感じています。そうして見たことや聞いたことを、これまで学んだことを参考にしながら深く考えていけるようになりたいです。

Q それでは最後に、来年度実習を行う後輩たちへ一言お願いします。

教室で学ぶことだけでは気が付かないものに出会う場です。ここで実際に感じたことがこれから自分が“地域”を考える上での軸になると思います。