銚子市におけるイノシシ・アライグマの生息状況調査と被害対策
概要
野生鳥獣による農作物被害は全国的な問題となっており、千葉県ではイノシシやアライグマによる被害が多くを占めています。銚子市はキャベツやダイコンを中心に農業が盛んな地域ですが、これまでイノシシやアライグマの生息は確認されておらず、ハクビシンやカラスによる食害が生じているものの大きな問題にはされてきませんでした。
しかし、平成26年度の調査により、個体数密度は低いもののアライグマの生息が銚子市内で確認され、平成28年度の調査によりイノシシの定着(繁殖)が長山町周辺地域で確認されました。アライグマによる被害は報告されていませんが、イノシシに関してはトウモロコシやサツマイモの食害、キャベツやダイコンの踏みつけ被害が発生しています。市内のアライグマおよびイノシシの分布はこれまでの調査結果では局所的でしたが、分布が拡大している可能性が高く、農業や衛生環境、生態系へ及ぼす影響が危惧されます。
そこで本プロジェクトでは、神社仏閣での爪痕調査や自動撮影カメラによる調査などにより、アライグマおよびイノシシの現在の生息状況を明らかにし、市役所や農業事務所、地域住民との情報共有を行うことで今後の被害対策の推進を図ることを目的としています。
これまでの成果や今後の展望
アライグマについては、平成26年度時に比べて分布が拡大していることが明らかとなりました。農業者への被害状況アンケートを実施しましたが、アライグマの存在を意識したことがなく、なんらかの被害があっても他種によるものであるという認識をしていました。これらのことから、今後は農業者や地域住民に対して市内のアライグマの生息状況と対策について普及啓発を行う必要があると考えられました。
イノシシについては、当初の分布域から個体が分散していることが明らかになり、市内でも局所的な問題であると認識されていましたが、全域での対策が必要であることが明らかとなりました。調査により得られた情報は市や関連団体と共有し、イノシシ捕獲用の箱わなの設置場所の選定を行うなど、地域の野生動物管理に役立てています。
また、地域住民に対しては、特に農作物被害が懸念されるイノシシについて、市内の生息状況と正しい対策方法について勉強会を開催し、普及啓発に取り組んでいます。これまでに7つの地域にて勉強会を開催しており、今後も引き続き実施したいと考えています。
基本情報
カテゴリー
人材育成、産業振興
プロジェクトを展開している自治体名
銚子市
関わっている研究室名、教員名、企業、団体など
千葉科学大学危機管理学部 加瀬研究室(動物行動管理学研究室) 加瀬ちひろ
海匝農業事務所
JAちばみどり
銚子市有害鳥獣被害対策協議会
実施期間
平成26年10月~
プロジェクトに関連するホームページアドレス
https://www.animalriskmanagement.com/加瀬ゼミ/
プロジェクトに関する連絡先情報