マッシュルーム栽培における病害防除のための新技術開発
概要
千葉県は食用きのこであるマッシュルームの国内における主要な産地であり、2014年の地域特産野菜生産状況調査では、全国のマッシュルーム出荷量5,592tのうち千葉県での出荷量は1,965tを占め、岡山県の2,150tに次いで全国第2位の生産量となっています。特に、千葉県内でも海匝地域はマッシュルームの一大産地であり、同地域ではマッシュルームは経済的に重要な栽培きのこです。
しかし、マッシュルーム栽培においては、昆虫類(特にキノコバエ類)、細菌類、菌類による病害がしばしば発生し、出荷量の減少などの被害をもたらしています。近年、海匝地域では、菌床栽培のマッシュルームに菌類(カビ)の一種が寄生し、変形する病害がしばしば発生し、収量の減少が問題となっています。菌類が寄生したマッシュルームは不定形の塊状となり、かさやひだの分化が進まず、表面は湿潤な糸状となり、はじめ白色、のちに褐変します。
このように、菌類が寄生したマッシュルームは著しく変形し、出荷できなくなるため、本病害の発生による経済的な損失は大きい。一方で、日本ではこのような病害に有効な薬剤は開発されていないことから、その防除のためには薬剤のみに頼らない、栽培環境の総合的な管理が必要です。
以上のように、海匝地域においてはマッシュルームの病害防除のための技術開発が急務となっています。これらのことから、マッシュルーム栽培環境の総合的な管理を行い、差別化された簡便で低コストの病害防除の新技術を開発し、農業生産基盤の充実強化を図っています。
これまでの成果や今後の展望
これまでに、海匝地域の数か所の栽培施設においてマッシュルームの病害発生状況のモニタリング調査を行いました。また、同地域の菌床栽培マッシュルームに病害を引き起こす菌類の分離培養を行い、形態的特徴に基づき、病害原因菌の同定を行いました。さらに、病害原因菌の栽培施設内への侵入経路を推定しました。今後は、病害原因菌の栽培施設内への侵入を物理的に遮断することで、マッシュルームの病害発生が抑制できるか否かを検討していきます。
基本情報
カテゴリー
産業振興
プロジェクトを展開している自治体名
銚子市、旭市
関わっている研究室名、教員名、企業、団体など
千葉科学大学危機管理学部 糟谷研究室 糟谷 大河
JAちばみどり
千葉県海匝農業事務所
実施期間
平成28年4月~
プロジェクトに関連するホームページアドレス
千葉科学大学 糟谷研究室:https://www.facebook.com/kasuyalab/
プロジェクトに関する連絡先情報
千葉県銚子市潮見町3番地
千葉科学大学 糟谷研究室
危機管理学部環境危機管理学科 糟谷 大河