空き公共施設活用(勝浦市)
概要
勝浦市は、少子高齢化、働く世代の転出に等による人口減少の問題を抱えており、過疎化が進行している地域です。他方で、400年以上続く朝市の伝統や、リアス海岸による入り組んだ山や谷、入り江の浜辺など豊かな地形、漁業や農業に従事する地元に根ざした住民が多く、地域の文化、自然、人の資産が充実しており、魅力が多い地域でもあります。
今回、2016年3月に廃校になった、旧勝浦市立清海小学校の活用提案を中心に、勝浦市全域の地域問題の解決の糸口を見つけるためのプロジェクトを実施しました。まずは、メンバー全員で現地に赴き、隠れた地域の魅力を発掘するためのフィールドワークを実施。リアス海岸による入り組んだ地形によって、それぞれの入り江で形成されるコミュニティや文化があり、住民同士の結束力の強さを感じました。そこで、このプロジェクト提案のコンセプトを「であうに出会う」として、廃校学校の活用に留まらず、地域問題の解決を目指しました。
提案では、地域住民が大学生のサポートを求めて憩う場や、シェアサイクルのステーションとして観光客が訪問し、観光案内や勝浦らしい食事が味わえるカフェスペースを作り、来訪者同士の交流促進を目指します。また、都心から電車で2時間というアクセスの良さを利用して、ものづくりをするデザイナーや大学生らが滞在してものづくりをするようなコーワーキングスペースとアトリエを提案し、外来者による勝浦への地域貢献を前提とした活動を促進します。
これまでの成果や今後の展望
廃校小学校の活用を通じて、一つひとつの独立した機能の提案に留まらず、勝浦全体を楽しくするための、空間から運用の仕組みを含めたトータルデザインを目指しました。
シェアサイクルのステーション、400年以上も続く朝市や、市内で調達してきた食材を地元の方が調理して提供してくれる食堂、地域の案内所兼寄り合い所を提案。シェアサイクルで勝浦市内に観光客等の細やかな流れを作りだし、食材を調理してもらえる食堂を併設していることで、観光客にとって、従来まで持ち帰りにくいという障壁があり難しかった、朝市にならぶ新鮮な野菜や魚介を購入の動機付けでき、調達してきたものを調理してもらい食べるなど、このプロセスを通じて勝浦全体を楽しむための仕組み作りを考案しました。そのための拠点施設として、旧清海小学校は、人々の出入りや交流を促すポンプのような役割を担う拠点となるような活用の提案を行いました。
今後は、提案した内容を現実可能なスキームにのせるべく、実際に地域に入り、フィールドワークや既存統計データ等の分析を通じて、勝浦ならではの現実的かつ持続性をもった地域活性化を目指します。
基本情報
カテゴリー
産業振興、若者定着
プロジェクトを展開している自治体名
勝浦市
関わっている研究室名、教員名、企業、団体など
千葉工業大学デザイン科学科 稲坂研究室・八馬研究室
稲坂晃義(千葉工業大学・助教)
八馬智(千葉工業大学・教授)
実施期間
平成29年4月〜
プロジェクトに関連するホームページアドレス
プロジェクトに関する連絡先情報
千葉工業大学デザイン科学科 稲坂研究室
〒275-0016 千葉県習志野市津田沼2-17-1